「営業が得意」「マーケティングに強い」「経営コンサルティングができる」こうしたスキルを持っている人が、果たして良い経営者になれるのでしょうか？実は、答えはNOであることが多いのです。

では、なぜでしょうか？それは、経営に求められる力が、営業やマーケティング、コンサルティングのスキルとは全く異なるからです。これから詳しく見ていきましょう。

① 経営は「全体最適」、営業・マーケティングは「部分最適」

営業やマーケティングは、ある特定の領域、例えば「売上を伸ばす」ことに特化しています。営業は直接的に顧客と向き合い、売上アップを狙い、マーケティングはターゲット市場に対して効果的な戦略を提供します。一方で、コンサルタントは「課題解決」を得意とし、企業が抱える問題を分析し、解決策を提案します。

ところが、経営者はこれらの部分的な最適化だけでは成功しません。経営者に求められるのは、全体を最適化する力です。売上や利益を追求するだけでなく、人材育成や資金繰り、組織作りまでをバランスよく考えることが求められます。「売れる仕組み」を作るだけでは足りません。その戦略を実行できる組織が整っているか、適切に運営できるか、すべてを見抜く力が必要です。

② 経営は「決断力」と「責任」がすべて

営業やマーケティングの専門家は、成功するための方法や戦略を提案することができます。しかし、経営者はその提案を「やるか、やらないか」を決める責任を負います。この決断をすることこそが、経営者の重要な役割です。

また、決断後にもし失敗した場合、どのようにリカバリーするかを考え続けなければなりません。経営者は、決断が早く、失敗してもすぐに立ち直り、次に進む力が求められます。成功する経営者は、失敗を恐れず、動き続ける勇気を持ち、常に改善し続ける姿勢が必要です。

③ 経営には「人を動かす力」と「泥臭い実行力」が必要

営業のプロは顧客を動かし、コンサルタントは論理的に納得させる力を持っています。しかし、経営者に求められるのは、社員を動かし、組織を成長させる力です。

経営者は単に「経営戦略」を考えるだけでなく、企業の理念を示し、社員を巻き込み、組織を一丸となって動かす力が必要です。泥臭い実行力も欠かせません。戦略を立てるだけではなく、それを実行するための具体的な行動力が求められます。たとえ賢い頭を持っていても、組織を動かす力がなければ、経営者としての成功は難しいと言えます。

④ 経営者は「未来を描く力」が求められる

コンサルタントは現在の課題を解決することに特化しており、現状の問題に焦点を当てます。しかし、経営者は、未来を見据えたビジョンを描かなければならないのです。5年後、10年後にどのような企業を作るのか、そのために今何をすべきかを考えなければなりません。

経営者は、市場の変化を読み取り、次の一手を打つ力が必要です。将来を見越して事業の方向性を定め、社員をそのビジョンに向けて導く力が求められます。単なる戦略を立てるだけでなく、未来を見越した経営判断が経営者に必要な大きな要素となります。

営業やマーケティング、コンサルティングのスキルだけでは経営者になれない

営業やマーケティング、コンサルティングのスキルがあることは素晴らしいことですが、それだけでは経営者としての成功は難しいと言わざるを得ません。経営は、単なる知識やスキルではなく、**「生き様」**そのものだからです。

経営者に求められるのは、全体を見渡し、決断力を持ち、責任を果たし、組織を動かし、未来を描く力です。これらをバランスよく発揮することが、成功する経営者となるために欠かせません。営業やマーケティング、コンサルティングのスキルがあっても、それだけでは経営者としての道を歩むことはできません。

だからこそ、経営者として成功したいのであれば、日々の学びを通じて、これらの力を磨き続けることが重要なのです。